― 村上原野(むらかみげんや)プロフィール ―

村上原野

【地より来て地に還るもの(制作中)】

村上原野―縄文造形家―


 北海道浜益村出身。縄文造形家・村上原野は北海道の原野に生まれ、幼少時代を父(猪風来)の縄文作品や縄文野焼きに日々身近に触れながら育つ。中学生の時は新潟県で火焔型土器の発掘に立ち会う機会をもち、またエクアドルの野焼きの村を訪ねる父子の旅も経験。2010年には新見市猪風来美術館で猪風来に師事し、本格的に縄文修行に入る。

 彼は縄文土器・土偶の徹底的な模写を通して体得した縄文の心と技を基盤とし、大自然と宇宙の波動を内包した1万年の始原のアートに軸足をおき、縄文の心に寄り添いながら現代に生きる己の内なる縄文を造形する。

 生と死と再生への畏怖と祈りの世界観が表現された縄文アート。その真髄に触れ縄文の心をなぞり追体験するその過程の中から彼自身の内なる縄文をつかみ取り、「現代に生きる己の感性」によって独自のニュー縄文造形作品の創作へと至る。その作品は大自然と大地から湧き立つ豊饒なる精気・霊気をおおらかに表象した生命のドラマを感じさせるもので、緻密で重層的に渦巻く文様表現の創造性は圧巻である。


 近年では多ジャンルの縄文アーティストらと『ARTs of JOMON』展を国内外で展開し、2015年には米国デンバー展、2017年にはマレーシア展に参加。2019年には米国ボルダー市“縄文の祭典”で北米初の縄文野焼きを実現。その技量と根源力が高い評価を受け若き縄文アーティストの旗手として期待されていた。


 2020年2月16日未明、作品完成直前に手に竹べらを持ったまま32歳の若さで急逝。その最後の作品は、大地から湧きあがる無数の渦巻く文様の中に浮かび上がる美しいヴィーナス像、両腕の途中から翅のように変容していくスパイラル文様は大地と繋がりそしてまさに未来へ羽ばたく姿。彼の魂のこもる、縄文アートの新時代を代表する名作が出来上がっていたのです。


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 縄文造形家・村上原野は、私と共に親子二代にわたる悲願を遂に達成した。それは21世紀芸術シーンに縄文芸術の大輪を花開かせて、渦巻く生命と魂の輝きを放って世界の人々を魅了する新しい縄文造形美のスタイルを確立するという悲願であった。

 代表作「生命の大地」(2017年)は、縄文土器を〈復活―体得―創造〉する芸術活動を突き抜けて現代に生きる彼の感性そのもので、大自然と大地から湧き立つ豊饒なる精気・霊気を表象した精密で重層的に渦巻く圧倒的創造性を示した。

 また「地より来て地に還るもの」(2019年)はエゾシカをモチーフにして生死再生をテーマに、大地に根差す縄文造形思考の究極の表現美を示した。そして絶作となった「渦巻く翅(つばさ)のヴィーナス」(2020年)は、愛する女性をモデルに、大地から湧きあがるスパイラル文様の美しく伸びやかな表現をもって、火焔式土器や大木式土器、勝坂式土器などの古来の様式を15種以上体得した者だけが創造し得るものであるこれらの作品は私、猪風来の作風を超えて、まさしく原野流儀の独自性をもち、古縄文を受け継ぎつつ現代に生きるものが表現し得る「新しい縄文様式美」を確立した偉大なる作品である。村上原野はまがうことなく若き天才縄文アーティストである。

(猪風来)


「大地は生命の淵源であり、縄文思考の基盤である。生命が大地から湧きあがり、そのふところで獣や草木や精霊や人として生まれ、死んでふたたび還ってゆく。大地に根ざす思考が縄文の住居や墓や縄文土器には表されている。大地の肉である粘土、地から天へ立ちのぼるような文様、地べたの火が器に命を宿す野焼き。土器は煮炊きの道具であるに留まらず、造形によって時空を越えて祈りと宇宙観を伝える魂の器でもある。」

(村上原野)


略歴


 1987年 北海道の原野に生まれる。

 2000年 新潟県立歴史博物館開館の際、火焔型土器の発掘の瞬間に立ち会い感動。

 2001年 民間教育番組「親の目この目」全国版スペシャル『ペルー・エクアドル探訪の旅』に出演。

                     猪風来と共にエクアドルの土器野焼きの村を訪ね野焼きを体験。

 2008年 札幌市立高等専門学校インダストリアルデザイン科卒業。岡山に移住。

 2010年 新見市に移住。猪風来に師事し、縄文の技法と精神を体得すべく修行に入る。

 2011年 『村上原野 縄文土器展 ハロ-、縄文!』(猪風来美術館) 個展。

 2012年 「農と縄文の体験実習館なじょもん」(新潟県津南町)で猪風来とともに縄文野焼き指導・実演。

                     『村上原野 縄文土偶展 いとしの土偶たち』(猪風来美術館) 個展。

 2014年 『ARTs of JOMON in AOMORI』(青森県立美術館コミュニティギャラリー) 出品。

                     『ニュー縄文アート 村上原野展―内なる縄文の鼓動を求めて―』(猪風来美術館) 個展。

 2015年 『Art Nuova展』(岡山県天神山文化プラザ) 出品。

                     『ARTs of JOMON in TOKYO』(東京都南青山 表参道Spiral Garden) 出品。

                     『東京町田・縄文アートフェス』(東京都町田市ひなた村)で猪風来とともに縄文野焼き

                     指導・実演。

                     『ARTs of JOMON in NIIMI』(新見市まなび広場にいみ小ホール) 出品。

                     『Iris展』( 岡山県天神山文化プラザ) 出品(以後2019年まで毎年出品)。

                     『ARTs of JOMON in DENVER』(アメリカ・コロラド州デンバー国際空港) 出品。

                     「Boulder Pottery Lab」(アメリカ・コロラド州ボルダー市)で猪風来・大薮龍二郎とともに

                     縄文Workshopを開催・縄文の道具作りと造形の講師を務める。

                     『縄文の美~世界に誇るJOMON芸術~』(山梨県立考古博物館) 出品。

 2016年 『縄文スパイラル・ノヴァ 村上原野展』(新潟県津南町 なじょもん) 個展。

 2017年 『ARTs of JOMON Hyper Subculture』(マレーシア・クアラルンプールISETAN Lot10) 出品。

                     『村上原野 生命の大地展‐JOMON Spiral Nova‐』(猪風来美術館) 個展。

                     『変幻自在法曽焼展』(猪風来美術館)出品。

                     縄文式竪穴住居“大地の気場庵”を猪風来美術館広場に建立。

                     『創空会展』( 岡山県天神山文化プラザ) 出品(2019年にも出品)。

                     『mon♥mon縄文展~それぞれの縄文考~』(札幌市カフェエスキス)出品。

                     『ARTs of JOMON in Kioicho』(東京ガーデンテラス紀尾井町)出品。

 2018年 NHK歴史秘話ヒストリア『縄文一万年の美と祈り』作品出品。

 2019年 米国コロラド州ボルダー市“縄文の祭典”で縄文ワークショップ・講演・公開制作・北米初の

                     縄文野焼きなど1ヶ月間にわたり実施。

                     『今を生きる縄文』講演と映画会(岡山シティーミュージアム)

                     ジャパンタイムスon Sundayに縄文リバイバルの若き旗手として掲載。

 2020年 2月16日未明 作品制作中に急逝。

                     『新作縄文法曽陶展-地より来て地に還るもの-』(猪風来美術館)出品。

                     『縄文スパイラルアーツ』展(岡山県天神山文化プラザ)出品。

                     『村上原野追悼展‐渦巻く翅(つばさ)のヴィーナス‐』(猪風来美術館)個展

 2021年 『村上原野“縄文の響”展』(新潟県津南町なじょもん)追悼展。

                     『焼物に映し出された美意識の時代的変遷』(備前市立備前焼ミューゼアム)出品。

                  :   「村上原野縄文造形作品集」出版

                     縄文野外美術館「未来縄文の杜」(仮称)構想―(新潟県長岡市)で村上原野作品

                     「渦巻く翅のヴィーナス」が選定され拡大FRP造形作品として制作中。

                     「今を生きる縄文・太平洋を渡る縄文の炎」出版(猪風来と共著)



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